元自衛官・木下 建一郎さん(元航空自衛隊・基地防空隊操作員。現在は農業に関わる)に聞く 聞き手:谷町 邦子
韓国政府の軍事情報協定破棄が意味しているのは、「韓国が日本から安全保障上有意な情報を得られることはない、もしくは得られなくても問題ない」ということだと思います。
東アジア情勢では、ロシア・中国・朝鮮民主主義人民共和国が安全保障上の課題だと思いますが、これらの国々に関する情報で、日本は他国の優位に立つほどのソースを持ちえないという現実を突き付けられたという印象です。
8月16日にも朝鮮民主主義人民共和国が飛翔体を発射したとする報は韓国軍から得たものだと伝えられており、日本の自衛隊ではありません。軍事情報協定破棄は、日本にとって安全保障上の利得が失われたのに等しいと思います。
さらに「もしかすると日本は国際社会で孤立してしまうのではないか」と懸念しています。イスラエルのように強硬な政治的指導者が国民の対立感情を煽り、対話や友好のきっかけを失ってしまうのではないかと。
かつてのオスロ合意のように、クリントン元米大統領のような政治的指導者の仲立ちがあればいいのですが、日本の安倍―アメリカのトランプという「孤立外交のツートップ」では難しいでしょう。
韓国との関係悪化により経済や安全保障に問題を抱え、また、朝鮮民主主義人民共和国との間も緊張状態が続いているなかで、他国からの和解のための協力が得られない、そんな孤立する日本の幕開けのように受け止めています。